電子契約のコラム

【クラウドスタンプ公式】契約書をPDF化して保管しておく際の注意点


IT化が進み、契約書をはじめ、各種書類を作成して、ひな型をデータとして保存している企業は多いのではないでしょうか。ですが、実際に使用する際にはプリントアウトして、紙ベースで保存していることでしょう。これは各種法令が取引の証拠などとして紙での保管義務を課しているためです。もっとも、一部の法令では一定の要件のもとで契約書のPDF化とデータ保存を認めるようになっています。

その代表的な法令である電子帳簿法と、近年注目を浴びている電子契約について確認していきましょう。

データで保管できる? 契約書をPDF化して保管しておく際の注意点

電子帳簿保存法は一定の国税関係書類について要件を満たした場合に、従来の紙での保存に代えてデータによる保存を認めるものです。電子帳簿保存法に基づきスキャナ保存をしたい場合には、一定の手続きや要件を満たさなくてはならず、今すぐ勝手に切り替えられるものではありません。

まずは、事前に税務署に申請を行い、所轄税務署長の承認を得なくてはなりません。また、視認性や可視性、検索性なども確保する必要があります。

たとえば、使用するスキャナの条件が設定されていたり、解像度は200dpi以上、RGB256階調以上での取り込みが要求されていたりします。
画像補正機能があるスキャナは画像の階調性が損なわれないように、機能調整をしておくことも大切です。一見、要件が厳しく導入が大変そうに思えますが、スキャナ保存制度が誕生した2005年時点の要件に比べるとかなり緩和されて、利用しやすくなっています。

2015年には従来は3万円未満に限られていた契約書が、3万円以上でも認められるようになったので、ほぼすべての契約書のスキャナ保存が可能となりました。また、タイムスタンプなどを利用することで、面倒な電子署名の付与も不要となっています。2016年には一体型のスキャナだけでなく、スマホやデジカメによる取り込みも可能になりました。

契約書をPDF化して保存する方法

契約書をデータとして保存する方法としては、大きく分けて次の2つの方法が考えられます。

一つは、従来通り紙で作成した契約書を原本の状態を損なわないようにスキャニングしてデータとして保存する方法です。そして、もう一つは契約書そのものを電子契約書の利用でデータとして作成し、データとして締結して、そのまま保管するというものです。後者では紙の書類は全く使われないため、ペーパレス化や低コスト化、業務効率のスピードアップなどにもつながります。両者の方法の違いや要件についてみていきましょう。

紙の契約書をスキャンする方法

電子帳簿保存法に基づき、国税関係の取引の証拠となる契約書をスキャンして保存したい場合、まずは事前に会社を管轄する税務署長から電子帳簿保存法の承認を受けなくてはなりません。スキャン保存できる契約書は承認を受けた日以後に発生するものに限られ、原則として過去の書類は認められません。

スキャニングに使用するのはスキャナのほか、デジタルカメラやスマートフォンも利用できますが、一定水準以上の解像度とカラー画像で原本と同等レベルでの可視性や視認性を確保できる状態に保つことが求められます。また、作成した電子データごとにタイムスタンプを付して、作成時以降に改ざんや修正などが加えられていないことも示さなくてはなりません。

さらに書類の検索性を保つことも大切です。取引年月日やその他の日付、取引金額やその他の契約書に記載される記録項目での検索がすぐにできるなど、システムを構築しておかなければなりません。

実際に電子署名を導入して電子契約書にする方法

これに対して電子契約は契約書作成や締結の段階から電子データを用いるものです。PDF化した契約書に、電子証明書で電子署名を行うことで、これまでの書面と押印による契約書と同等の証拠力を認められることになっています。

紙の契約書では、実印と印鑑証明書による本人確認や法人と代表者の確認を行ってきました。しかし、電子契約においては実印の代わりに電子署名、その電子署名が本人によってなされたものであることを証明するものとして電子証明書が求められるイメージです。

紙の契約書のスキャナ保存で起こり得る問題

この点、スキャナ保存制度というのは、国税庁が国税関係書類の保存方法として認めるもので、基本的に国税の税務の手続きや義務の中で認められる制度です。従来は電子署名が要求されていたのが、制度改正によって不要となったこともあり、もし電子署名がない状態で保存している契約書であれば、いざ取引先などとトラブルが起きた際、そのデータを利用しようとしても裁判上の証拠としては弱いという問題が生じます。特にスキャンしたからと紙の原本を破棄してしまった場合は要注意です。

そこで、ペーパレス化や業務効率化も兼ねて契約書のPDF化を進めたいのであれば、契約書の作成段階からPDF化して、電子署名を付す電子契約書での保管の方が安心かもしれません。電子署名法第3条では電磁的記録であっても本人による電子署名が行われているときは真正に成立したものと推定するとしていて、裁判上の証拠としても利用できるので安心できます。

電子帳簿にプラスした電子契約のすすめ

紙の契約書を一定の要件のもとでスキャニングしてPDF化して保管することは、国税関係書類の保管について定めた電子帳簿保存法で認められています。ですが、電子署名が必ず付される電子契約書を導入することでスキャニングの手間もなくなるうえ、裁判上の証拠力も高まるので、取引の安全や業務効率化のうえでは電子契約の導入とデータ保存がおすすめです。

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